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お寺の借地は本当に売却できる?知らないと損する5つの注意点

お寺の借地を相続したり所有していると、「この土地は本当に売却できるのだろうか」と不安に思う方も少なくありません。

実際にお寺の借地は一般の土地と比べて権利関係が複雑で、売却には宗教法人の承諾や承諾料の支払いが必要になるケースもあります。

さらに、買い手が見つかりにくく価格が下がりやすいといった課題もあり、十分な準備なしに進めると大きな損をしてしまう可能性もあります。

そこで本記事では、

  • お寺の借地が売却可能なのかという基本的な仕組みから、
  • 注意すべき5つのポイント
  • 具体的な売却方法、

そしてお寺の借地売却を成功させるための実践的なコツまでを詳しく解説します。

記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士

不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。

お寺の借地は売却できるのか?基本的な仕組みを解説

結論からいえば、お寺の借地でも売却は可能です。

ただし通常の不動産売買とは異なる特有の仕組みがあるため、理解しておかないと後々トラブルや損失につながることもあります。

借地人が持っているのはあくまで「土地を使う権利」

まず知っておきたいのは、借地人が持っているのはあくまで「土地を使う権利」であり、土地そのものの所有権ではないという点です。

したがって売却対象となるのは、建物とその借地権のセットです。

借地権を買う人は、土地を所有するのではなく、地主であるお寺に地代を払い続ける形で土地を利用することになります。

お寺(地主)の承諾が必要

お寺の借地は通常の借地と比べても特殊な側面があります。

たとえば、借地権を譲渡して売却する際には、お寺(地主)の承諾が必要となるケースが多く、その際に「承諾料」を求められることがあります。

さらに、宗教法人は営利を目的としていないため、契約内容や交渉の進め方が独特で、通常の地主よりも柔軟さに欠ける場合もあります。

借地権の価値は立地や契約条件によって異なる

借地権の価値は立地や契約条件によって大きく変わります。

都市部の駅近であれば需要が見込めますが、買い手が限定されるため、通常の土地売買と比べると流通性は低くなりがちです。そのため「売れるかどうか」だけでなく「いくらで売れるのか」を冷静に判断することも重要です。

つまり、お寺の借地も条件を満たせば売却は可能ですが、その背景には借地法、宗教法人特有の交渉、そして市場での流通性といった複数の要素が絡み合っています。

加瀬 健史

これらの仕組みを理解して初めて、スムーズかつ納得のいく売却につなげることができるのです。

お寺の借地を売却するときに直面する5つの注意点

お寺の借地は一般の土地と比べて特殊な条件が多いため、売却を検討する際にはいくつかの重要な注意点があります

  • 借地権と底地の関係を理解していないと売れない
  • 宗教法人との交渉が必須になるケースが多い
  • 承諾料や譲渡承諾が必要になる場合がある
  • 買い手が見つかりにくく売却価格が下がりやすい
  • 相続や登記の問題が複雑化するリスクがある

① 借地権と底地の関係を理解していないと売れない

お寺の借地では、借地人が持つのは「借地権」、地主であるお寺が持つのは「底地」という形になります。

土地そのものを売るのではなく、あくまで借地権と建物のセットを売却することになるため、この権利関係を正しく理解していないとスムーズに取引できません。

買主側も「土地を所有できるわけではない」という点を理解して購入する必要があります。

② 宗教法人との交渉が必須になるケースが多い

借地権の譲渡や建物の売却を行う際には、地主であるお寺の承諾が必要です。

一般の地主と比べ、宗教法人は契約内容に厳格な場合があり、交渉が長引くこともあります。

また、お寺によっては「檀家関係」や「地域との付き合い」を重視するケースもあるため、単なる商取引とは違う独自の対応が求められる点に注意が必要です。

③ 承諾料や譲渡承諾が必要になる場合がある

借地権を売却する際、多くの場合「譲渡承諾料」という名目で地主に費用を支払う必要があります。

相場は借地権価格の数%といわれますが、お寺によって条件が異なります。

この費用を支払わないと譲渡が認められず、売却そのものが進められないケースもあるため、事前に確認しておくことが重要です。

④ 買い手が見つかりにくく売却価格が下がりやすい

借地権付きの不動産は、所有権付きの土地に比べて市場での需要が低くなりがちです。

さらに「お寺の借地」という特殊性も加わり、買い手が限られる傾向にあります。そのため売却までに時間がかかるほか、価格が相場よりも下がってしまう可能性があることを理解しておく必要があります。

⑤ 相続や登記の問題が複雑化するリスクがある

借地権は相続の対象にもなるため、売却の前に相続人間での調整が必要となるケースがあります。また、登記が適切にされていない場合、売却手続き自体がスムーズに進められないこともあります。

加瀬 健史

特に古い借地契約では書類が不十分なことも多いため、事前に専門家へ相談して権利関係を整理しておくことが望ましいでしょう。

お寺の借地を売却するための代表的な3つの売却方法

借地権付き建物ごと売却する

最も一般的な方法は、借地権とその土地に建つ建物をセットにして売却する形です。

買主は建物を所有しながら、地主であるお寺に地代を支払い続けることになります。この場合、地主の承諾が必要であり、承諾料が発生する可能性もあるため、早めにお寺と相談して条件を確認しておくことが欠かせません。

借地契約の更新期限や条件も、買主が安心して購入できるよう明示しておくと有利に働きます。

底地とまとめて売却する

もしお寺側が売却に前向きであれば、借地権と底地をまとめて一体で売却する方法もあります。

このケースでは、買主が土地と建物を一括で所有できるため、需要が高まりやすく、より高い価格で売却できる可能性があります。

ただし、宗教法人であるお寺が底地を手放すことは簡単ではなく、合意形成に時間がかかる点には注意が必要です。

専門の不動産会社や弁護士に依頼する

お寺の借地を売却するには、借地借家法や宗教法人との交渉といった高度な専門知識が欠かせません。

そのため、借地権取引に精通した不動産会社や、法務に強い弁護士へ相談することをおすすめします。

特に借地権の売却に強い不動産会社は、買主のネットワークを持っているため、スムーズに売却先を見つけられる可能性が高まります。

また、弁護士に相談すれば契約条件の調整やトラブル防止にもつながります。

お寺の借地売却を成功させるためのポイント

  • 早めに宗教法人と相談して承諾を得る
  • 借地権の権利関係を明確にしておく
  • 専門知識のある仲介会社に依頼する
  • トラブル回避のために専門家を活用する

早めに宗教法人と相談して承諾を得る

お寺は借地の地主であり、借地権の譲渡や売却にはお寺の承諾が必要になるケースがほとんどです。承諾料が発生する可能性もあるため、早い段階から宗教法人に相談し、条件や対応方針を確認しておくことが大切です。

売却の話を進める前に信頼関係を築いておくことで、交渉がスムーズに進む確率が高まります。

借地権の権利関係を明確にしておく

借地契約書、更新履歴、登記情報などの権利関係が不明確だと、買主が安心して購入できず、売却が難航する可能性があります。特に古い契約では契約書が残っていなかったり、口約束で更新されているケースもあります。

その場合は、弁護士や司法書士に相談して契約関係を整理し、必要に応じて登記を整えておくと安心です。

専門知識のある仲介会社に依頼する

借地権の取引に精通している不動産会社は、借地特有の市場や買主のニーズを理解しています。

さらに、承諾料の相場やお寺との交渉の進め方についてもノウハウを持っているため、自分だけで動くよりも有利な条件で売却できる可能性があります。

加瀬 健史

当社は借地権の売買実績が多数ございますので、お悩みのことがございましたら、お問合せからお気軽にご連絡ください。

相場価格を把握して現実的な価格設定を行う

借地権の売却価格は、立地や契約条件、地代の額などによって大きく変わります。所有権付きの土地に比べて需要が限られるため、高すぎる価格を設定すると買い手が現れず、売却が長期化するリスクがあります。

専門家に査定を依頼し、相場感を踏まえた現実的な価格を設定することが重要です。

トラブル回避のために専門家を活用する

売却過程では、お寺との承諾交渉や買主との契約調整など、トラブルの種になりやすい場面が多く存在します。弁護士や司法書士といった専門家にサポートを依頼することで、契約違反や後々の紛争を防ぐことができます。

安心して売却を進めるためにも、専門家の知見を取り入れることは非常に有効です。

加瀬 健史

当社は弁護士などの士業連携もしっかりしておりますので、ワンストップで対応いたします。

まとめ|お寺の借地は売却可能だが専門知識と交渉力がカギ

お寺の借地は、通常の土地や建物の売却とは大きく異なる点が多く存在します。

借地権という特殊な権利を売却するため、地主である宗教法人の承諾が必要であったり、承諾料や譲渡条件の調整が発生したりすることが一般的です。さ

らに市場での需要が限定的であるため、所有権付きの土地と比べると買い手が見つかりにくく、価格も下がりやすい傾向があります。

しかし、売却が不可能というわけではありません。借地権付き建物として譲渡する、底地と一体で売却する、専門の不動産会社に依頼するといった複数の選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

成功の鍵となるのは、早めに宗教法人と信頼関係を築き、承諾や条件を確認しておくこと。そして契約や登記といった権利関係を整理し、専門知識を持つ不動産会社や法律の専門家を活用することです。これらを実践することで、不安やリスクを最小限に抑え、納得のいく売却につなげることができます。

「お寺の借地は本当に売れるのか」と悩む方も多いですが、正しい知識と準備、そして交渉力を備えれば売却は十分に可能です。焦らず段階を踏んで進めることが、成功への一番の近道といえるでしょう。

私が責任をもって対応いたします。

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加瀬 健史カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上 宅地建物取引士

不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100以上。

借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。

  • 世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。
  • ”借地取引をわかりやすく”をテーマに掲げた「借地権のミカタ」監修。

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